徳島すぎの利用形態


徳島すぎの利用形態

 伐採木の根元部分は元玉材と呼ばれ、その多くが尺上材です。この節の少ない元玉の尺上材からは敷居・鴨居、長押等の造作材が加工されます。徳島県内では、尺上材からスギ下見板などの幅広の板が古くから生産されてきましたが、昭和50年頃からは芯去りの割角(割柱)の生産も行われ始め、主に九州市場に向けて出荷されています。
 これら化粧向けの役物製品は比較的高値で取り引きされてきましたが、経済状況と建築様式の変化で、役物製品に対する需要が激減、それに比例し生産量も縮小しています。これが徳島すぎ材全体の取引価格を押し下げる要因となっているため、役物製品に代わる新たな元玉材の利用開発が急務となっています。
 中目材は丸太全体に占める材積割合が約6割と大きく、その利用策が全国的な課題となっています。徳島ではこうした中目材を住宅用内外装材にすることが近年増加しているほか、焼きスギの原板や足場板などの板材、貫・垂木・胴縁などの小割材に加工しています。このほか、県内の林業グループが強度などの試験データを積み重ねた結果、現在では、中目材から住宅用梁・桁も生産されています。
 小径材は、吉野川流域にある幾つかの大型製材工場で柱材に加工され、主にプレカット用部材としても県外へ流通しています。このほか県公共土木工事向けの杭や工事看板としての利用も進んでいます。また、徳島県ではこれまで林業再生・飛躍プロジェクトを実施し、間伐材の有効利用を進め、合板やMDF(中質繊維板)の材料としての供給体制を確立してきましたが、現在そうした取り組みは次世代林業プロジェクトに引き継がれ、徳島すぎの新たな用途開発を推進しています。
資料:徳島県の森林事情

四国のすぎ利用形態