JAS規格と表示について


JAS規格と表示について

「JAS」とは、農林水産大臣が制定した日本農林規格(JAS規格)による検査に合格した製品にJASマークを貼付することを認める制度のことです。
 木材製品は、アイスクリームやインスタントラーメンなど加工食品と同じ「JAS規格」で表示され、①適用の範囲、②定義、③基準、④測定の4つの方法がJAS規格で規定されています。
 JASの木材製品の種類は、無垢の木材は「製材」と「枠組壁工法構造用製材」のJAS規格です。加工木材では「合板」「フローリング」「集成材」「単板積層材」「構造用パネル」「枠組壁工法構造用たて継ぎ材」のJAS規格があります。
 当連合会で認定を行っている「製材」のJAS規格の区分は以下のとおりで、用途によって様々に区分されています。
 『構造用製材』はその名のとおり「建築物の構造耐力上主要な部分に使用する針葉樹の製材」のことです。ただし『構造用製材』も大きく2種類あり、木材の強度に影響のある材面の欠点を目視で測定し等級区分する『目視等級区分構造用製材』があります。一見同じように感じるのですが、それぞれ別の認定となるため『目視等級区分構造用製材』で認定を受けているJAS製材工場で『機械等級区分構造用製材』を格付けすることは出来ません。その反対も出来ません。
 『構造用製材』以外で針葉樹を材料とするのは、見栄えを重要視する場所向けの『造作用製材』、外から見えないような場所に使うことが多い『下地用製材』、枠組壁工法建築物(2×4)の構造耐力上構造部材として『枠組壁工法構造用製材』があります。
唯一『広葉樹製材』は、広葉樹を主な材料とした製材品全般の規格となります。
 このように、JAS製材品は消費者が利用しやすいよう、全国どこでも一定の品質の製品が入手でき、品質も保証されるべく用途別、製品別に項目を定めて規格化が行われています。

用途別の規格化
 目視等級区分構造用製材は、横にして使う「横架材」は甲種、縦に使う柱材は乙種と用途に応じて規格化されています。
 なお、政府は木材の自給率向上を目的に、低層(3階建て以下))の公共建築物は原則として木造化を図るという「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」を平成22年5月26日に公布しました。 これにより、国産材の利用促進を図るには、建築基準法施行令第46条の木造の構造耐力上必要な軸組等の規定に合致する必要があることから、JAS構造用製材に規定される「基準強度」がさらに重要な意味を持つこととなりました。
 すなわち、木造の架構を構成する場合、構造材となる木材の強度は、目視等級区分製材または機械等級区分製材によって決められた数値を使用することが、国土交通省告示で具体的に指定されています。そのため、公共建築物での構造は、原則、構造用製材を使用することになります。
品質基準の統一
 全国に流通しても樹種、等級別に品質基準が統一されています。
製品寸法の明確化
 木材製品は削って使うことも多いのですが、製品寸法とその許容差が製品の用途や含水率に応じて決められています。
含水率表示の明確化
 狂いや割れの原因の一つである乾燥は、柱材や造作用材など用途に応じて、それぞれの含水率が決められています。人工乾燥を行ったものは「KD(キルン・ドライ)」と言われます。
保存処理表示の明確化
 樹種、薬剤に応じて保存処理基準がもうけられており、使用部位や用途別に最適な処理剤を使うことになっています。
強度性能表示の明確化
 構造用製材について樹種、等級に対応した基準強度が規定されており、建物の構造計算に用いることで、壁や床などの強度性能を明確にすることができます。
JAS目視等級構造用製材表示の例
 JAS規格に適合する製材品であることを表示するときには、以下の項目を明確に表示することが義務づけられています。そして、表示事項の規定により表示してある事項の内容と矛盾する用語、品質を誤認させるような文字、絵その他の表示はしないように定められています。

●JASマーク:
 外径30mm以上、内径27mm、JASの高さ9mmと大きさが
 明確に決まっている。
●樹 種:
 スギ、ヒノキ、ベイマツなど。
●種 類:
 目視等級区分構造用製材では「甲Ⅰ」、「甲Ⅱ」、「乙」の区分を記載する。
●等 級:
 「甲Ⅰ」、「甲Ⅱ」、「乙」のそれぞれ基準に該当する
 等級1・2・ 3級を表示する。
 なお、1級は★★★、2級は★★、3級は★と表示する。
 なお、★は必ず黒色でないといけない。
●寸 法:
 短径、長径、長さをmmやcm、mの単位で表示する。

●製造業者名:
 製造業者または販売業者の氏名又は名称を示す。


参考文献等:
・新しい製材の日本農林規格並びに改正の要点及び解説
(一般社団法人全国木材検査・研究協会)
・JAS制度の手引(社団法人日本農林規格協会)
・一般社団法人全国木材検査・研究協会WEB

●県産材紹介のコーナーは徳島県木材協同組合連合会様のご協力を頂き、 同会発行の
 「徳島すぎブランドガイドブック」より抜粋させていただきました。